「あの時行っておけば、」後悔の気持ちとどう向き合う?

「今までほめてこなかったのがいけなかったのかもしれません。」

カウンセリングで親御さんのお話をお聴きしていると、時おり過去を悔やむお話をお聴きします。

もちろん、そのときはそうせざるを得なかったという状況もあるからこそ、過去に原因を探すことはカウンセリングでもあまりやることはありません。

また、親御さんだけではなく、お子さんも時に過去を振り返り、「あの時、行っておけば、」という後悔の気持ちを話すこともあります。

本日はこうした後悔の気持ちについて、どのように受け止めたらいいのかについて、考えていきたいと思います。

過去にやらなかったことへの後悔

カウンセリングでお子さんと継続的に話していると、時おり「あの時、学校に行っておけばよかった」という言葉を聴くことがあります。

思い描いていた自分の人生と今の自分とを比較して、「もし過去に戻れるのなら学校に行っていたのに」という思いが浮かんだようです。

もちろん、過去に戻れないことはわかっていながらも、悔しい気持ちも伝わってくるやり取りでもあります。

私自身も高校生の頃、学校帰りの電車の中で、途中で乗ってくる他校の制服を見て、「もし中学校に行っていたら、自分もあの高校に行けていたんだろうなあ」と思うことも何度かありました。

けれど当時は、行くことを選べただろうか?

カウンセリングでお子さんが話す、こうした後悔の気持ちを私も受け止めながらも、「それでは当時は行くことができただろうか?」という疑問もふと浮かびます。

きっとその当時も、その子の周りには、学校に行くことを勧める家族や先生もいたことでしょう。

そして、お子さん自身も学校に行った方がいいことは、休むまでの学校生活の日々で理解もしていたでしょう。

それが分かっていながらも登校することが難しかったからこそ、学校を休まざるをえなかったのかもしれません。

ですので、「もし過去に戻れたら行っていたのに」という思いについては、もちろん否定することはありませんが、実際に行けただろうかと考えると、心も体も限界だった状況というのも十分あったと思います。

それではなぜ、こうした後悔の気持ちが出てくるのでしょうか?

今の自分なら、という思い

もちろんお子さんそれぞれに背景は異なりますが、もしかしたら「今の自分だったらできるのに」という自信もあるのかもしれません。

当時の状況で、当時の自分自身の状態であれば難しかったこともあるでしょう。

当時は当時で、お子さんもやれることをやっていたのではないかとも思います。

しかし、当時の状況で、今の自分なら、と想像すると、自分が選べる選択肢は変わっているのかもしれません。

昔の自分と今の自分は違うこと

このように考えると、後悔は昔の自分との成長を感じる瞬間でもあるのかもしれません。

後悔の気持ちはなかなか心地の良いものではありませんが、後悔ができるということは、それだけ今の自分にできることを実感しているのかもしれません。

カウンセリングでも、後悔の気持ちにも寄り添いながら、今の自分の成長を振り返る機会にもなったりします。

一歩ずつ、着実に自分自身も成長しているんだと気づくこと、それは過去の経験にも前向きな意味を与え、今の自分に自信を与えてくれる機会につながっていきます。

後悔は、たしかにつらい気持ちです。

しかし、後悔できることには前向きな意味や前に進んでいる気づきがあるのかもしれません。

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