学研オンエアの山下先生にインタビュー~オンライン学習の魅力と勉強の悩みとの付き合い方~

ユリイカのタネでは、悩みと上手に付き合っていけるように、「選択肢を知ること」も大切なテーマにしています。

将来の選択肢だけでなく、今、どのように過ごしたらいいのか、どんな過ごし方があるのだろうか、プロの方々にインタビューさせていただきながら、その情報を発信していきたいと思っています。

そして今回は学習の話題。

コロナ禍の中では、オンライン授業、オンライン学習も一気に身近なものとなりましたよね。

けれど、「実際のところどんな感じなんだろう?」など、よく分からないところもあるかもしれません。

そこで今回は、オンライン学習サービス「学研オンエア」の山下先生に、その魅力と勉強の悩みとの付き合い方をお話しいただきました。

画像提供:Gakken ON AIR

オンラインで、一緒に学べる空間づくり

ー本日はよろしくお願いいたします。
オンライン学習というワードは、コロナが始まってからたくさん目にする機会が増えました。

そこでまずは「学習オンエア」という学習サービスについて、どのようなものなのか、教えていただけますか。

「学研オンエア」が誕生したのは2021年、まさにコロナ禍となります。

緊急事態宣言もあり、塾や学校での授業でオンラインが積極的に活用されるようになった状況の中で、オンライン学習塾として生まれたのが始まりでした。

オンライン学習塾なので、基本的には家庭でオンラインの授業を受けるというサービスだったんですね。

そこから2年ほど経ちまして、さまざまな学習効果ももちろんありましたが、もっと良くなるように課題の改善にも取り組んできました。

そして今は「学研オンエア」はオンライン学習塾ではなく、オンライン学習サービスであるとご説明しています。

具体的にお話ししますと、まず授業を受けるだけでは成績がなかなか上がりません。

そこでまず、学習することをひとつひとつ分解していくと、

正しい方法で学習をすること、モチベーションをしっかり持つことがとても大事になってきます。

ですので、こうした点をサポートできるような要素を学研オンエアには詰め込んでいます。

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例えば子どもが学習する教材については、インプットとアウトプットがしやすいよう、映像授業を自由に見ることができます。

あと、その子の習熟度に合った学習ができるように、豊富なデジタル教材を選べるようにしています。

次に子どもたちのモチベーションを上げることもとても大事だと考えています。

どうしても家庭で、自分一人で勉強を頑張るのは大変です。

ですので、周りの子どもたちの存在を感じられる空間を家庭でも実現できるようにメタバースという技術を使って、学研オンエアのバーチャル校という名称を付けてるんですね。

子どもたちが、学習の場に通うという体験ができるような、そういう空間づくりを意識しています。

周りの子の頑張りが見えたりすることで、ライバル心や競争心など、一緒に頑張っている感覚を子どもたちが感じられることを考えています。

またそれだけではなく、勉強の仕方や、そもそも頑張ることの大切さなど、そういったことをしっかり教えることも大事だろうと思っています。

もちろん授業の中でそうしたことをやられている先生は多くいますが、こうした点数に現れない非認知の力を伸ばすこともすごい大事だと考えています。

ですので、勉強の仕方や頑張り方、モチベーションが上がるような話など、そういったものを毎週月曜日に、セミナー形式で子どもたちにライブで伝えています。

学研オンエアはこうした勉強のやり方やモチベーションへのサポートもぎゅっと詰め込んだサービスなんですね。

学習へのモチベーションをサポート

ーまさにコロナの真っ只中において、学習という面だけではなく、子どもたちのモチベーションや、一緒に学ぶ居場所づくりの役割も果たしていたのですね。

そうですね。

中学生の子どもたちは、積極的な子ももちろんいますが、どちらかというと引っ込み思案な子が多いように感じています。

自分から積極的に周りにコミュニケーションを取っていく子は少ないんじゃないかなと。

ですので、子どもたちの居場所という面でもそうした点は意識しています。

メタバースというバーチャルな学習空間の中であっても、やっぱりライブでつながるってすごく大事なことなんだなと思っています。

それはどういうことなのかっていうと、先生がハブになって、子どもと子どもをつなぐことなんですね。

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例えば、他の子の工夫を伝えたり、反対にその子の工夫が他の子の役に立ったことを伝えたり。

こうしたことを繰り返していく中で、子ども達はお互いを感じられるようになって、一緒に頑張っているんだということを実感できるようになっていきます。

けっこうハイレベルな発展のクラスであれば、「この子すごいよ」と伝えることで、「負けないぞ」というような競争心を生み出すようなこともあると思います。

もちろん子どもの性格によって、すごく変わってくるとは思うので、その子に合わせたかかわりをライブでのつながりでも意識しています。

授業の時間以外のコミュニケーションを大切に

ー子どもたちの「負けないぞ」という気持ちを高めたり、あるいは子どもが安心して取り組めるように子どもと子どもをつなぐハブの役割を担ったりと、やはりモチベーションをとても大切にされているのですね。

おっしゃるとおりですね。

授業も週一回とか週二回とかしかつながることができないので、そこでの子どもたちとのつながりはとても大切にしています。

数学や英語の授業で、内容について質問したり、授業で当て、生徒がそれに対して答えることだけが価値ではないだろうと思っています。

画像提供:Gakken ON AIR

たとえば、「部活は何してるの?」とか、「どんな風に過ごしているの?」など、そういうコミュニーケションを授業外のところで取ることはすごく大事なんだろうなと思っています。

けっこう何気ない会話なんですけれども、喜んで話してくれる子が多いなと感じます。

そしてみんな輪になって一緒に話している瞬間もオンラインの学習サービスで素敵な場面の一つなんだろうなと思います。

中にはカメラをオフにして参加している子もいるんですけどそういうコミュニケーションの取り方もあるだろうと思っています。

また、毎回学校であったことをチャットで教えてくれるような子もいるんですね。

子ども一人一人、色んな形があっていいんだろうなと思っています。

ーオンライン学習と聞くと、「効率がいい」というイメージが浮かんだのですが、リアルと変わらず、子どもたちとの何気ないコミュニケーションを大切にされているのですね。

おっしゃる通りですね。

もちろんすごくやる気を持って、めきめきやる子も中にはいます。

そうした子にとっては学習した履歴がデジタルに全部残りますので、自分の理解度がどんどん上がっていくことも確かめることができます。

そしてそれがモチベーションにもつながっていくので、コミュニケーションをそこまで必要としない子もいたりします。

しかし、たとえば中学生でも多数派の子たちが塾に通う目的は、勉強だけではなく、友達に会いに行くためという動機だったりもします。

ですので、私たちのサービスの特徴というよりは、自然とこういう場になってるなっていう感じですね。

リアルとは異なる、オンラインのメリット

ー子どもたちにとっては、お家と学校以外の居場所の一つ、友達とつながることができる場、そういう役割も自然とになっているのですね。

そうですね。

この春から大きく変わりましたね。

以前もメタバースの空間はありましたが、それまではそういうことがなかったんですよね。

週二回ほどライブの授業や質問教室などのイベントはしていましたが、こうした雰囲気にはなっていませんでした。

けれど今は、たとえアバターといえど、「あっ、みんなログインしてるな」とか、「あっ自習室で勉強頑張ってる子いるな」とか、「あっ、この子もこんな時間にやってるわ」とか、そういうのが見えると、やる気が出るって言ってる子も多いですね。

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ーこの春から雰囲気も変わってきているのですね。何かきっかけなどがあったのでしょうか。

そうですね。コロナが落ち着いてきたというのも大きく関係していると思います。

この学習の分野では、デジタル、オンラインの学習からリアルに戻ったんですよ。

リアルの方に大きく人が戻っていきました。

私たちも一時期はリアルの緊急避難先という役割も担いながら、学習をサポートしてきましたが、それだけではない魅力、価値もしっかりと表現していこうということになりました。

「みんなが集う、みんなが頑張っている、自分一人だけではないことを実感できる空間」を大切にしていこうということで、この春新たにリリースしました。

ーありがとうございます。モチベーションを大切にされていることは学研オンエアのHPからも伝わってきます。ですがお話を伺っていると、鼓舞するようなかかわりだけではなく、寄り添うような姿勢も伝わってきました。
モチベーションについて、山下先生が特に意識されている点などはあるのでしょうか。

その通りだと思っていますが、私たちは学習サービスをしているので、やっぱり成績を上げるということがゴールにはあるんですよね。

そして成績を上げるために、四六時中を横にいて教えてあげられるんだったらそれでいいんですけど、そうではないので自分から勉強しようと思えることが大切なんです。

「やっぱりちょっと勉強やってみようとか頑張ってみよう」って思ってもらうことがとっても大事で、そのためにはやっぱり分かって楽しいとか、できるようになって楽しいとかそういったことが結局一番大事なんだろうなっていう風には思っています。

その一歩を踏み出す上で後押ししてあげるってのはすごく大事だと思うので、そのためにコミュニケーションがあり、授業があり、一緒に過ごす空間があるという感じですね。

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ーカウンセリングにおいても、自分から動いてみようという気持ちはとても大切にしていますので、とても共感できる内容でした。

例えばですけれども、映像授業も利用できるんです。

数学は中学一年生の数学から中三の数学まで全部見れるんです。

大人から見れば「それを見たらいいじゃん」って話になるんですよね。

けれど、そういうわけには全然いかないんです。

例えばライブの授業に行ってみたら、先生が「頑張れ」って声かけてくれる、授業と全く関係のない先生の話がおもしろかったとか、「ここの単元だけ異常に分かった」とか、こうしたことがきっかけでやってみようとなることもけっこう多いんです。

子どもたちそれぞれ、そのきっかけは違うんですけど、勉強を始めるきっかけ作りは大切なんだろうと思っています。

そしてそのきっかけはリアル、オンライン同じで、ライブで、同じ時間に同じタイミングでコミュニケーションができる、会話のキャッチボールがあって成立するものかなという風に思っています。

たった一回の授業で、たった一回の声かけで、がらりと変わる子もいるので、一つ一つの機会を大切にしています。

子どもたちの今感じていることを察すること

ーこうした点を大切にされているのは子どもたちにとっても心強いですね。
さて、学研オンエアで授業をされている先生についてもお聞きしたいのですが、実際に授業をされている先生は他の先生方と比べて、「特にここがすごい!」などはありますか?

もちろんそれぞれに違いはありますが、子どもが今どう思っているか、どう感じているかということを察知する力はすごくあると思います。

勉強の教え方が上手というのも大切だとは思いますが、適切なタイミングで見直しをしたり、ちょっとわかにくいところやつまずいたところを察知してカバーしたり、そうした力が違うなと思いますし、私もそれが一番大事なんじゃないかなと思います。

それはオンラインであっても同じなんです。

例えばオンラインですと1対100とかで授業することもあるんですよね。

それだけ多いと、察することも難しいんじゃないかと思うかもしれませんが、実はそうじゃなくて、1対100の方がいろんな子の表情を汲み取りやすいというか、「あ、今全体的にこう思ってるな」というのが汲み取りやすいので、こっちのほうが良い授業ができたりもするんですよね。

その時に全体に対して適切な声掛けをすることで、「今のわかってなくて大丈夫だったんだ」とか、「あ、これわかったらすごいんだ」とか、クラス全体をしっかりとオンラインの授業でも鼓舞していくことができる先生たちだと思っています。

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ーたとえ1対100の授業であったとしても、察してもらえることで生徒にとっては、「先生は自分のことを分かってくれている」と感じることができそうですね。
ありがとうございます。私自身もとても学びになりました。

ご家庭で意識していただきたいこと

次は家庭でのお子さんの勉強について質問をさせてください。ご家族からいただくご相談の中で、休んでいる時の勉強とのかかわり方があります。
勉強について心配する親御さんも多くいると感じているのですが、ご家庭で意識していただきたいポイントやアドバイスなどありましたら教えていただけますか?

少し抽象的な話になるのですが、まず一番大事なことは保護者の方が、子どもの味方になるということが一番大事なんじゃないかなとは思いますね。

味方であるという姿勢を伝えることで信頼関係ができていると、一緒にこうやっていこうよっていうことが言いやすいんじゃないかなと思います。

ー対立関係を作らずに、協力関係を築いていくこと、カウンセリングでも大切にしている点でした。ありがとうございます。
次は具体的な質問となってしまうのですが、受験の年となる子の中には、模試の評価に不安を感じて、模試を受けることにもストレスを感じる子もいます。
そうした子に対して、その心構えなどアドバイスをいただけますか?

そうですね。

模試は、AからEまで、アルファベットで判定がつきますよね。

たしかにE判定が出ると、「もう志望校変えなさい」という勢いを本人は受け取っちゃうかもしれませんし、判定によって気持ちの受け取り方も大きく変わると思います。

あくまでこれは基本的な考え方なんですけども、模試を受けるっていうのは最終的にB判定やA判定が取れればいいので、今受験生なのであれば、来年一月とか二月のことなんですね。

ですので、その途中段階はどうでもいい、DでもE判定でも全く問題がないっていう心構えを持つことはとっても大事だと思います。

とっても大事なんですけど、それを見て見ぬふりをしろって言ってる訳ではなくて、受け止めないといけないとは思います。

こわいことですけど、模試は今の自分を把握するためのものであって、受かるか受からないかを図るためのものじゃないということが大前提にあります。

それをまずは伝えてあげてほしいと思います。

けれど、そうした子の気持ちも実はすごくわかったりします。

今まで勉強がなかなかできなくて、これから勉強しようと、やっと思えたのであれば、すぐに受けようとせずに、9月や10月ぐらいに模試を受けようとタイミングを決めて、そこまでは避けてもいいと思います。

今すぐに受けるのではなく、準備期間を設けることも大切です。

例えば中学校3年間の勉強なんて、その気になれば、実は3,4ヶ月でマスターできてしまうんですよ。

たとえ今の判定が良いものでなかったとしても、無理じゃないよっていうことは知っておいてほしいと思います。

まずは、今の自分を知ること、その目的をしっかりと理解していくことが模試を受けるときには大切ですね。

お読みになっている方へのメッセージ

ーありがとうございます。
私も大学受験のとき、ずっと模試でE判定が続いていて、最後の模試でA判定が取れた経験があるので、私も勇気づけられるお話でした。
それでは最後に、この記事をご覧いただいている方に向けてメッセージをいただけますか?

きっと、ご覧になっている方の中には、不登校や勉強で悩まれている方もたくさんいらっしゃると思います。

けれど見方を変えれば、今は時代も進んで色んなコンテンツやサービスなど、教材を含めて世の中にはあります。

見方を変えれば、学校に行くよりも効率よく学習できるものもたくさん揃っている時代です。

ですので、学校の役割と家庭学習の役割はそれぞれ違うと思うんですよね。

家庭学習で十分学力をつけることは可能だと思っています。

そのためのやり方やモチベーションの持ち方っていうのも教えてくれるところはたくさんあると思います。

ですので、勉強のことでは悩まなくても大丈夫だと思っています。

今は向き合うことが難しくても、やる方法はあるんだよっていうことは伝えたいなと思っています。

しかし一方で、学校に行かなくていいよ、ということを言いたいわけではないんです。

その子が社会で生きていくためには、人とのコミュニケーションやチャレンジする経験など、学校など人とのかかわりの中で得られる力もあると私は考えています。そうした力は勉強以上に大事なことだと思っています。

ですので、学習については、私たちのようなサービスも含め、選択肢は揃っていると思います。

勉強のことは心配しないでいいから、その分エネルギーを貯めていってほしいと感じています。

ーたしかに、いろんなサポート、選択肢をうまく使いながら、進んでいけるといいなと思いました。
本日は貴重なお話ありがとうございました。

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