【不登校の悩み】自信を無くしている子どもへのかかわり方

子どもが学校を休み始めると、お子さんの様子は休む前と大きく変わることも多くあります。

以前は何も気に留めずにできた外出も、今では人目を気にするようになることもあるかもしれません。

受けた方がいいとわかっている定期テストも休んでしまったりと、家族にとっても受け止めづらい状況もあるでしょう。

「自信がまるで無くなっている。」
「自信を取り戻してほしい。」

カウンセリングで、そうお話になる親御さんも多くいらっしゃいます。

今回はカウンセリングでもよく話題に上る「自信」について、親は子どもにどのようにかかわったらよいのか、お話していこうと思います。

そもそも自信ってなに?

「自信」という言葉は皆さんも聞いたことも使ったこともありますよね。

「自信」という単語で辞書を引くと、

「自分の価値・能力を信ずること。自己を信頼する心。」

という意味が出てきます。

たしかに、何かに挑戦したり、立ち向かう時に自分の能力を信じることが出来ない状況だと不安も強くなりそうですよね。

例えば、「試験に合格したい」という思いはありながらも、その合格点を取れる見込みを感じていないとき、試験に臨むのは気が重いかもしれません。

また以前には、クラスの中で期待される自分への優等生なイメージと、実際に自分自身が自分に抱いている劣等感とのギャップでストレスを強く抱えている子もいました。

昔は、勉強が得意だったり、運動が得意だったりと自信を持つことができていたことも、いつしかそれを周りから期待されるようになり、その期待に応え続けることに難しさを感じている子もいます。

周りから見ると、何も問題なさそうに過ごしている子でも実はストレスを抱えていたり、反対に先生から注意されることが多くても特に気にしていない子もいるでしょう。

自信の定義の通り、自分自身が自分に対してどう感じているかがポイントになってきます。

自信をつけるために大切なこと

自信のつけるためにはどうしたらいいのでしょうか?

この質問には、おそらく多くの人がほめることと答えるのではないでしょうか。

たしかに、ほめられると嬉しい気持ちは出てきますよね。

ただし、ほめるというかかわりは注意が必要なものでもあります。

というのも、ほめるというのは、目上の者から目下の者に評価を下す、上下の関係を作るかかわりとなります。

また、ある事柄をほめるかどうかはその人の主観に左右されるため、人によって評価がバラバラになりやすいという点もあります。

例えば、学生の頃はテストでほぼ満点ばかり取ってきた大人からすると、70点はとても低い点数かもしれません。

一方で、ほぼ赤点ぎりぎりを取ってきた大人からすると、70点は高得点かもしれません。

また、そのテストの難易度によっても70点の価値は変わるかもしれません。

このように、ほめるというかかわりは主観的な評価のため、人によってばらつきが出てきますので、場合によっては「この人は評価してくれるだろうか」と顔色を気にしたりするケースも出てきます。

またほめられることが当たり前になっていると、ほめてくれない人に「なぜ、ほめてくれないんだ」と不満を感じてしまうケースもありました。

ほめることは、たしかに相手に自信を持ってもらうかかわりの一つではありますが、万能ではなく、注意も必要なかかわりです。

そこで、ほめる以外にはどんなかかわりが自信をつけるために大切なのか、事例も交えて解説していきますね。

励まさないこと

励ますことについては、「もっと自分に自信をもってほしい」という思いを親御さんがお子さんに持っているときには、特に注意したい意識となります。

こうした思いを持っているときに、お子さんが弱気な発言や悩みを口にすると、「そんなことないよ」と、こちらは励ましてあげたくなるかもしれません。

しかし、この「励ます」というかかわりについて、改めて考えてみると、たしかに相手を勇気づけようとする前向きな意図をもってこちらは励ますことになりますが、励まされた相手がその意図をきちんと受け取れないリスクが出てきます。

例えば、お子さんが内心では「励ましてもらいたい」という思いから、あえて弱気な発言をしていた場合は、励ましてもらいたいと思うお子さんと、励ましてあげたいと思う親御さんの思いは噛み合うでしょう。

しかし、お子さんが内心では「この悩みのつらさをわかってほしい」という思いから、弱気な発言をしていた場合はどうでしょうか。

悩みのつらさ、今は向き合うことがつらいことを分かってほしいにもかかわらず、向き合うように励まされることはお子さんにとってもつらい時間でしょうし、励ます親御さんにとってももどかしい時間かもしれません。

励ますというかかわりは、もちろん相手のことを思う善意の気持ちが土台にはありますが、「そんなことないよ、あなたならできるよ」と、相手を否定するニュアンスがどうしても入ってしまいます。

心にゆとりを持てるように、悩みを抱えるお子さんに対しては、すぐに励まさないことも大切です。

まずはその悩みを聴き、しっかりと受けめることを意識していきましょう。

感謝

「ありがとう」と感謝の言葉を伝えること、このかかわりもお子さんに勇気を与えるコミュニケーションとなります。

自信をつけるための方法には、いくつかのパターンがあります。

誰かとの競争に勝つこと

何かを成し遂げること

これらの方法は達成感もあり、たしかに自信がつく方法でもあるのですが、デメリットもあります。

それは達成できるかどうかは不安定であるという点です。

競争に勝てるかどうかは相手次第ですし、何かを成し遂げられるかどうかは目標の設定次第です。

簡単に勝てたり、クリアできることでは達成感は得られにくいですが、相手が強ければ、目標が高ければそもそもクリアもできません。

競争に勝つこと、成し遂げることは、クリアすればするほど次クリアするのが難しくなっていく方法でもあります。

一方、「ありがとう」という感謝の言葉を伝えるかかわりはどうでしょうか。

「ありがとう」という言葉は、先ほどの「ほめる」のかかわりにあるような上から下に評価をするかかわりではなく、横から横へ感謝の気持ちを伝える対等な関係性の中でのかかわりとなります。

そして、感謝の言葉を伝えることで、相手が受け取ることは「自分は誰かの力になれる」という実感です。

困っている誰かがいて、その困っている誰かの役に立つことができたからこそ、感謝の言葉「ありがとう」が返ってきます。

私たちは、たった一人で生きていくことはできません。

どんな進路を選んだとしても誰かとともに過ごす時間はあるでしょう。

そのときに「自分は誰かの力になれる」という実感は、安心してその集団に入る自信となるでしょう。

日々の家庭の中で、お子さんがしてくれていることで、もはや家族にとっては当たり前になっていることもあるかもしれません。

けれどそうした行為にも、改めて「ありがとね」と伝えることもその子の自信を取り戻すやりとりにつながっていくでしょう。

成功体験(スモールステップ)

「できた!」という成功体験を積むこと。このことも自信をつけるためには大切な時間となります。

けれど、ストレスが強くかかっていたり、まだ本調子ではない時にいきなり無理なチャレンジをするのは禁物です。

運動でも、ケガをしているときに激しい練習をすればケガは悪化しますよね。風邪を引いているときもますます熱も上がるかもしれません。

それは心においても同じです。

無理をせずに、今できることから一歩一歩、取り組んでいくことが大切です。

そして、スモールステップで目標を決め、取り組む中で、目標をクリアできたことをほめるのではなく、その目標にどのように立ち向かっていったのか、どんな工夫をしたのかなど、結果ではなくプロセスをほめることが大切です。

プロセスを評価することは、難しそうな目標に向き合う時の勇気となっていきます。

例えば、子どもが学校への復学を目標とし、そこまでのスモールステップを組み立てていく場合は、

スモールステップの例

朝〇時に起きる。

学校の準備をする。

校門まで行く。

保健室に行く。

〇〇の授業に出席する。

など、その子にとってのスモールステップを組み立てたりします。

どんな組み合わせがスモールステップになるかはお子さんによっても感じ方が様々ですので、その子と一緒に話し合いながら進めていくことが大切です。

まとめ

お子さんの自信を取り戻すために、周りができるかかわりについてここまでお伝えしてきました。

お子さんの性格、置かれている状況によって、できることも変わってくると思います。

そして、親御さんとお子さんの関係によっても変わってくるでしょう。

こちらのかかわりに対して、お子さんはどう感じているか?という視点も大切にしながら参考にしていただけたらと思います。

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