新学年、GW明け、夏休み明け、冬休み明け、一年の中でも不登校のご相談が増える時期があります。
「休み明けから急に学校を休みだしたんです」
ご家族にとっては、思いもよらない突然の出来事だったりするでしょう。
けれど、それはお子さんにとっても同じことなのでしょうか?
子どもも突然学校に行くことが嫌になるのでしょうか?
実際に、カウンセリングで子どもたちが話してくれる経緯を聴いていると、学校を休む数か月も前から「行きたくない」という悩みを抱えている子も多くいます。
例えば、友達が思うようにできなかったり、勉強についていくことが大変だったり、様々な理由はありながらも、自分なりになんとか折り合いをつけて登校を続けています。
嫌なことがあったからすぐに休むのではなく、我慢強く、頑張ってきた日々を過ごしている子も少なくありません。
それでも、悩みが解消されることはなかったり、どんどんつらさが増していくような状況であれば、ずっと折り合いをつけ続けるのも難しいでしょう。
子どもたちも、学校に登校することはこれまでの人生の中で、当たり前のこととして知っています。
それでも子どもが学校を休んだ時に、「学校に行った方がいいこと」を説明し、説得を試みるケースもあるかと思います。
「学校に登校すること」を知らない状況であれば、その理由を教えてあげた方が良いでしょうが、そのようなお子さんは学年が上がれば上がるほど少なくなるでしょう。
多くの子が、学校に行くことは当たり前のように知っています。
それでも、学校を休むという状況はどのように理解したらよいのでしょうか。
心というのは、目に見えません。
だからこそ、子どもが学校を休んだ時、周りからすれば突然のことと思うかもしれません。
そして、「今なら背中を押せば学校に行けるようになるのではないか」と、説得したくなる気持ちも出てくるかもしれません。
けれども、休み始めたときというのは悩みが生まれた瞬間ではなく、悩みを抱えながらも頑張り続けることに限界がやってきたサインかもしれません。
子どもからすれば、「頑張ってきたけれどもう無理だ」と感じるタイミング。
親からすれば、「今ならまだ間に合うかもしれない」と感じるタイミング。
学校を休み始めたときに生まれやすい、この認識のずれは、親子関係の対立につながり、親子のコミュニケーションを難しくしてしまいます。
学校に行くことは、子どもももちろん知っている状況です。
それでも学校を休むということを選択するまでには、どのような背景があったのでしょうか。
学校に行く必要があることを親御さんがいくら一生懸命伝えても、自分なりに一生懸命手を尽くして、それでも限界を超えたと感じている子にとっては、なかなか響くことはないでしょう。
むしろ、親子の会話はどんどん難しくなってしまうかもしれません。
学校を休むまでにはどのような葛藤があったのか、心はなかなか見えにくいからこそ、その背景に思いを巡らせていきましょう。
その葛藤を理解すること、葛藤を抱えながらも向き合ってきた姿勢を労うことを、まずは大切にしていきたいですね。