なぜ、子どもの話を聴くことが大切なの?

お子さんが学校を休んだ時、親としてどんなふうに関わったらよいのか、様々な情報を探しますよね。

ネットで調べたり、本を読んだり、そうしたときに必ずと言っていいほど出てくる、「子どもの話を聴きましょう」というアドバイス。

話を聴くことは、誰でもできますし、したことがあると思います。

だからこそ、「話を聴いているけど意味あるの?」、「この聴き方で合っているの?」という疑問も感じるかもしれません。

話を聴くことについて、改めて考えてみると、その聴き方にはいくつかの種類があるのです。

そして「話を聴きましょう」というアドバイスで言われている「聴き方」というのは、カウンセリングで扱う「傾聴」という技法のことを指しています。

ですので今回は、傾聴という話の聴き方について、詳しくお話していきますね。

なぜ、子どもの話を聴くことが大切?

そもそも話を聴くことが大切な理由はなんでしょうか?

いくつか理由はありますが、最も大切なことは子ども自身が「自分の状況を理解してもらえたことを実感すること」にあると考えています。

学校を休んだとき、その判断に堂々としていられる子は多くありません。

学校に登校することが当たり前だった中では、休まざるを得ない状況であっても、一方で休むことでもストレスを感じてしまうケースが多くあります。

「この先どうなるのだろう?」、「周りにどう思われるだろうか?」、不登校に対する理解は、昔よりも広がってきているとは思いますが、それでも身近にそうした状況の子が多くいることはなく、孤立したような感覚を持つことも多いかもしれません。

そうした状況の中で、自分の悩みや葛藤などの状況を親に理解してもらえるやり取りは、子どもにとって、自分は一人ではないことを確かめ、不安を和らげることにつながっていきます。

だからこそ、心に負担が最もかかっている状況の時には、励ますことやアドバイスを送るよりも、まずは話を聴き(傾聴し)、状況を理解することが大切です。

そのことが、「自分の状況を分かってくれている人がいる」という心の支えとなり、その支えはこれから悩みと向き合うための心の準備につながっていきます。

聴く、訊く、聞く、違いはなに?

話の聴き方について、なんとなくイメージはつかんでいただけたと思います。

ここでは、さらに「話をきく」ということについて、他のきき方を紹介していきますね。

それぞれのきき方の違いを理解することで、正しい話の聴き方を行いやすくなるでしょう。

「きく」の違い

「聴く」 相手が何を伝えたいことに、関心を持って、集中して聴く。

「訊く」 自分が知りたいことを問いただす。

「聞く」 特に注意を向けていなくても聞こえてくる音や話を聞く。

いかがでしょうか?

同じ「きく」でも、内容が異なることがわかりますよね。

そして、先ほどお伝えした「きき方」は、一番上の「聴く」かかわりとなります。

二つ目の「訊く」は、自分が知りたいことを知るために、質問をしたりするかかわりとなります。

「学校の何が嫌なの?」

「休む原因は何?」

「勉強がついていけないの?」

など、質問をするかかわりとなります。

そしてたしかに、それらの質問を通して、「子どもの状況を理解すること」はできるかもしれません。

しかし、その状況の理解はあくまで、質問する側が知りたい状況であり、すべてではありません。

さらには、子どもが理解してほしいこととずれる可能性も大きいため、聴くことの目的である「自分の状況を理解してもらえた」という実感を、子どもは持ちづらくなってしまいます。

話しても理解されなかったり、嫌な展開に会話が進むようであれば、次第に質問には子どもも答えなくなるかもしれません。

親も何とかしてあげたい思いからのかかわりだと思いますが、子どももつらい話をしてくれた状況だからこそ、こうした気持ちになることは避けたいですよね。

また三つ目の「聞く」は、勝手に聞こえてくる音を指しており、聞き手は何か別のことに意識を向けながら「聞く」こともできます。

ですので、この「きき方」も、話す人は「理解してもらえた」という実感が持ちづらいですよね。

さらに、「聞こえてくる音や話を聞く」という表現にもあるように、受け身の姿勢であるとも言えるでしょう。

話を聴く方法はもどかしい?

「え?話を聞くことが受け身の姿勢というのは当たり前じゃないの?」

と思った方もいるかもしれません。

たしかに、話す人と聴く人という状況をイメージすると、話す方が積極的で、聴く方は受け身の印象は持つでしょう。

こうした印象から、「話を聴きましょう」というアドバイスは、「早く何とかしてあげたい」と思う親御さんからすると、もどかしく感じる方法なのかもしれません。

しかし、話を聴くことの目的は、「相手を理解すること」、「相手に『自分のことを理解してもらえた』と感じてもらうこと」でした。

ただひたすらに、話を聞き続けるのではなく、「相手を理解する」という明確な目的があるのですね。

「自分のことを理解してもらえた」と相手に感じてもらえるように、話を聴いていく積極的なかかわりでもあります。

ですので、アクティブリスニング(積極的傾聴、傾聴姿勢)という言葉もあったりします。

理解することと同意することは違う?

また、話を聴くことについて、時折こんな質問をいただくこともあります。

「子どもの言うことを何でもきかないといけないのでしょうか?」

例えば、「新しいゲームが欲しい」、「夜中はずっと起きていたい」などを子どもが言ってきたら、すべてかなえてあげないといけないのだろうかと心配される親御さんもいらっしゃいます。

その望みをかなえてあげることで、子どもも喜んだり、安心できる一方で、「ゲームの時間が多くなるのではないだろうか」、「夜更かしして体の調子を崩したらどうしよう」など、別の心配も浮かぶでしょう。

お子さんの心だけでなく、体のことも心配する気持ちは当然のことだと思います。

そして、心だけでなく、体のことももちろん大切にしてほしいですしね。

こうしたことも踏まえ、話を聴くときに大切なポイントとしては、「理解することと同意することは違っても大丈夫」ということです。

先ほどの例でいえば、新しいゲームが欲しい気持ちやその理由への理解は大切にしつつも、それを買ってあげるかどうかは親御さん、ご家族としての判断をすることが大切になります。

不登校の状況だからといって、特別に何かを行ったり、制限をするということではありませんので、誕生日プレゼントなど、ご家族としてこれまで行ってきた家族行事の中でゲームを買ってあげることも一つの選択だと思います。

また、特に誕生日も近くなく、これまでの家族の過ごし方の中で特別に買ってあげる事情がなければ、無理に買う必要もないでしょう。

そして、「学校を休んでいるから今年は誕生日プレゼントは無しね」という罰のように扱うこと、一方で「学校に行ったら買ってあげるね」という報酬のような扱いも親子のコミュニケ―ションが取りづらくなっていく可能性があるため、オススメはしません。

お子さんの話の中には、親御さんとしても同意しかねる話題も当然入ってくるでしょう。

話を聴くということは、そうした話題についてもすべて同意しなければならない、お子さんに考えを合わせなくてはならないという意味ではありません。

親御さんとしても、大切にしたい考えや価値観はあるでしょう。

ですので、仮に同意できない考えや気持ちを子どもが話してくれたときにも

「(私の考えは違うけれど)あなたがそう考えていることは理解したよ」

という態度を大切にしていきましょう。

何とかしなきゃと思っている時ほど要注意

ここまで、「話の聴き方」についてお伝えしてきました。

「話ってどうやって聴いたらいいの?」という問いに少しでもお答えすることができていればと思います。

また私たちは「何とかしてあげたい」と強く思っていたり、焦っている時ほど、相手の話をきくときには、「訊く」のかかわりが多くなります。

実際、一生懸命、子どもの話をきいているのだけれど、「訊く」かかわりが中心となり、子どももなかなか話してくれない、話さなくなるというケースも少なくありません。

不登校というテーマを家族で考える時に、親子が対立する必要はありません。

少しでも同じ方向を向いて、一緒に取り組んでいく関係性も作れるように、参考にしていただけたらと思います。

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