今週に入り、ほとんどの学校がスタートしていると思います。
冬休みのリラックスした雰囲気からは変わり、お子さんだけでなく、親もそわそわしやすく、気が重い時期。
今回は始業式などの節目についてお話をしたいと思います。
始業式、終業式、修学旅行、運動会、文化祭などなど。
学校には様々な行事があり、そうした行事がある日は普段とは異なる時間の流れとなります。
実際、達成感や緊張感など、普段とはまた異なる気持ちを感じることも多いでしょう。
だからこそ、私たちは学校行事などの節目に対しては、普段の登校日よりも重要なものとして考えやすくなります。
そして、「始業式に行かなかったらダメなのではないか?」と、もしその節目に参加できなかった場合の不安に引っ張られてしまうこともあるでしょう。
また、時に学校の先生も「クラス写真はクラス全員で撮ろう」などと、そうした節目を復学のきっかけとしてご提案されることもあるそうです。
しかし、実際に多くのお子さんが学校に関わっていく様子をお聴きしていると、こうした学校行事などの節目をきっかけとして活かしているケースはそこまで多くないように感じています。
きっかけがあるから、意欲が湧いてくるのか。
意欲があるから、きっかけが見つかるのか。
実際に支援をしていると、後者の方が多いように感じています。
例えば、学校に登校する意欲がなかったり、むしろ抵抗感がある状況で、何か学校行事などの節目を理由に登校を促しても、お子さんの気持ちが変わることはあまりありません。
むしろ、「この学校行事がどれだけ大切か」ということを周囲が一生懸命伝えた分、それに参加できなかったときの落ち込みを強めてしまうことも起こったりします。
周囲にとっても、子ども自身にとっても苦しい時間となってしまうでしょう。
しかし一方で、お子さんの意欲が湧いているときは、お子さん自ら動くきっかけを見つけてくることもしばしば。
しかもそのきっかけは、修学旅行などの学校行事と比べると、あまり特別感のないようなものだったりします。
実際に、もう一度学校に登校してみようと、お子さんが考え始めたときには、動き出すそのタイミングについてはこんな風にお話してくれます。
- 「今日行ったら明日休みだから行こうかな。」
- 「週の初めだから行ってみようかな。」
- 「宿題できたし出しに行かないと。」
あくまで一例ですが、学校行事のような大きな出来事ではありませんよね。
明日は休みとなる金曜日は毎週ありました。
そして週の初めの月曜日も毎週あります。
また、宿題ができたときがあっても、代わりに親御さんに出しに行ってもらったり、先生が取りに来てくれたりということもありました。
こうした様子をお聴きしていると、あるきっかけが子どもの気持ちを変えてくれたということではないように考えています。
子どもが意欲を回復したことで、その意欲を後押しするために、様々な出来事をきっかけとして後付けしているような感覚です。
このように考えると、私たちは節目などをきっかけとしてあまり重要視しなくてもよいのかもしれません。
ここまでお話してきましたように、実際のお子さんの様子をお聴きしていると、きっかけはお子さんの気持ちを変えるものではなく、お子さんの気持ちを後押ししてくれるものです。
しかも、そのきっかけは特別な学校行事である必要はなく、再び意欲が湧いてきたときには、日常のちょっとした節目もきっかけにしてしまう力が私たちにはあるようです。
そう考えると、何か学校行事に向けて無理に気持ちを変えるのではなく、文字にすると単純な表現になってしまいますが、「心に元気を取り戻すこと」、「心を回復すること」がまずやるべきことなのだろうと考えています。
始業式、登校した子も、そうでない子もいるでしょう。
そして、始業式という節目を大切に考えていたご家庭にとってはその落ち込みも大きいかもしれません。
けれど、今回お話しましたように、動き出すきっかけは学校行事に限らず、お子さんによってそれぞれ異なります。
始業式も見方を変えれば登校日の単なる一日にすぎません。
そして、動き出そうと心が回復したときには、動き出すきっかけをお子さんはきっと見つけてくるでしょう。