お子さんが不登校の状態となったとき、「なんで学校に行けないのだろう?」、「不登校の原因は何だろう?」と疑問が自然と浮かんでくるでしょう。
そう考え出すと、
- 人目が気になるから?
- 勉強が分からないから?
- 友達とトラブルがあった?
- 完璧主義だから?
- 内気だから?
いろんなことが原因として浮かんでくるかもしれません。
けれど、こうした原因探しをすることが多くなっているときは、実は注意が必要なんですね。
不登校の原因探しをすることは、もちろんお子さんの悩みを解決するため、お子さんが再び元気に過ごせるためだと思います。
けれど、原因探しをしていくと、知らず知らずのうちに子どもの長所を否定してしまう可能性があるのですね。
「不登校の原因と、子どもの長所が結びつくの?」
「短所とならわかるけど…。」
その仕組みについても解説をしていきますね。
「バイアス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
バイアスとは、それぞれの経験、信念、思い込みから来る考え方の偏りのことで、それにより非合理的な判断をしてしまったりします。
そのバイアスには、いろんな種類があることが知られているのですが、今回のテーマと関係が強いバイアスは、
私たちは「注目したもの同士に因果関係を見出す」というものです。
これは、AとBという二つの事柄を意識しているとき、私たちはその二つに何らかのつながり、因果関係を見出そうとする力というものになります。
例えば、ある飲食店に長い行列ができていたら、「とてもおいしいご飯屋さんなのかな」と思いませんか?
また、刑事ドラマのように、起きた出来事から推理していくときにはこのバイアスは必須の力となるでしょう。
けれども、行列に並んでご飯を食べてみたけど今一つだったり、その逆もあったりしますよね。
そして、刑事ドラマも登場人物はしばしば推理を間違えます。
このように、バイアスというのは完璧なものではありませんし、間違えていることに気づくことも簡単ではありません。
ただし、今回お伝えする注意したいことというのは「バイアスで判断を間違えると」いうことではないんです。
実際に、不登校というテーマで考えてみましょう。
よくカウンセリングで話題に出るものとしては、次のような理由があります。
「人目が気になるから、学校に行けない」
この理由は、親御さんが推測することもありますし、お子さんがそのように話す場合もあります。
そして、実際の日常生活でお子さんが「外出したがらない」、「人と会うと隠れる」、「人と話すときに目を合わせない」などのような人目を気にするそぶりが見られると、ますます「人目が気になること」が学校に行けない原因のように感じられるかもしれません。
ここで注意をしたいことが一つあります。
それは「人目が気になること」を不登校の原因として扱ってしまうと、「人目が気になること」は直すべき問題やその子の短所のように扱われてしまうということ。
「え?それの何がいけないの?」と思った人もいるかもしれません。
次の段落では、その点についても解説していきますね。
「人目が気になること」を直すべき問題やその子の短所として扱うことの何が問題なのでしょうか?
それは、「人目が気になること」というその子の特徴は、裏を返すとその子の長所でもあったりするからです。
例えば、「人目が気になる」というのは別の見方をすれば、「相手を気遣うことができる」、「空気が読める」という長所にもなったりします。
そして、「人目が気になる」という特徴が、小さいころからあったのであれば、それは子どもにとって様々な過去の困難を乗り越えるときに支えてくれた長所であるかもしれません。
例えば、「人目が気になる」ことで、相手を怒らせずに済んだり、トラブルを避けることができたり。
あるいは、「相手を気遣う」ことで、友達ができたり、感謝してもらえたり。
短所として表れているその子の特徴の裏には、その子の長所があるかもしれません。
その子の短所を直すべき問題として扱ってしまうと、その子の長所まで否定してしまう危険があること、お分かりいただけたと思います。
大事なことは、まず強みを忘れないようにすることです。
例えば、「人目が気になる」というテーマでも、まずはその強みを再確認していきましょう。
そして「あなたにはその強みがあるからこそ、こういう場面ではストレスを感じるのかもしれない」という理解でかかわっていくことが大切です。
私たちはバイアスを避けることはできません。上手にバイアスと付き合っていくしかありません。
だからこそ、不登校の原因探しについては、その注意したい点も忘れないようにしていきましょう。
今お子さんに短所として表れている性格の特徴は、もしかしたらお子さんの長所でもあるかもしれません。
自分の強みを知っていることはとても心強い支えとなりますよね。
長所まで否定してしまわないように、正しく理解をしていきましょう。