不登校とはどういうものでしょう?
言葉からは、「登校していない」ということは簡単にわかりますが、この質問に対する答えは人によって様々です。
- 病気だと言う人
- 怠けているだけだと言う人
- 心が疲れているんだと言う人
あなたはどんなイメージを持っていましたか?
もしかしたら、お子さんが実際に学校を休むようになり、イメージが変わった方もいるかもしれません。
「勇気づけ」や「課題の分離」など、悩みとどう向き合っていくかを考える
アドラー心理学では、「目的論」という考え方を用いて、不登校を理解していきます。
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アドラー心理学では、このような視点で人を理解していきます。
過去の出来事が今の状況を作り出していると考える「原因論」とは、反対の視点となります。
仮に、原因論の視点で人を理解しようとすると、私たちの今の行動は過去の出来事によって
決定されていることになります。
しかし、そうしたことは現実に起こりうるでしょうか?
アドラー心理学では、
「どのような過去があろうとも、今、これから何をするかは自分が選ぶことができる」
という視点に立ちます。
これからどうするかは自分自身がいつでも選ぶことができる。
自分次第で、未来はいつでも変えていけるという視点です。
子どもに学校を休む理由を尋ねると、
「授業についていけないから学校に行けない」
「友達とケンカしたから学校に行けない」
という話が出てくることがあります。
「行けない」という言葉からも、何か自分ではどうしようもできない原因があって、
変えることは不可能なんだという印象を抱くかもしれません。
しかし、アドラー心理学では、こうした「原因論」的な考えではなく、
「学校に行けない」のではなく、「学校に行かない」というように理解します。
つまり、その子にとって、何らかの叶えたい目的があり、
その目的を叶える手段として「学校に行かない」という行動を選んでいると理解なのですね。
「学校に行けない」のではなく、「学校に行かない」
このように考えると、ただのサボりではないのか、怠けではないのか、
そのような考えを持つ人もいるかもしれません。
しかし、不登校はサボりでも、怠けでもありません。
「学校に行った方がいいこと」はどの子も当然知っています。
そして、多くの場合、ある日突然学校を休むのではなく、その子なりに登校する努力を重ねますが、
それでもどうしようもなくなったときに、学校を休むことを選択しています。
何らかの叶えたい目的の方が、学校に行くことよりも勝ったときに、
学校を休むという行動を選んだだけであり、休む前から悩んでいる子がほとんどです。
そして、その目的は人によって実に様々です。
- 勉強ができない自分を人に見せずに、自分のプライドを守るため
- トラブルになったクラスメイトへの仕返しのため
- 先生からの納得のいかない指導への反発のため
- 親の注目を集めるため
等々
これらはほんの一部であり、これ以外にも学校を休む目的は子どもによって異なります。
「目的論」と「原因論」、違いについて分かったようで、よく分からないような、
そんな感覚もあるかもしれません。
実際、
「自分のプライドを守るために学校に行かない(目的論)」と「勉強ができないから学校に行けない(原因論)」、
どっちでも同じじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、支援をしている立場からすると、この違いはとても大きい。
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たとえ、学校に行かないという行動に関わる出来事は同じでも、
未来は自分で選ぶことができるのか、できないのかという、その人の持つ可能性への理解が大きく異なります。
「学校に行った方がいいこと」は知りながらも、「行かないこと」を選んでまで叶えたい目的があること、
その子が抱える重さを理解しつつ、それでもその子の未来は「いつでもその子が決められる」ということを忘れないこと。
その子の苦しみはしっかりと受け止め、それでもその子の持っている力は守ること、
この2つの視点を持つことが不登校を正しく理解する上で大切であり、
そのために、アドラー心理学の「目的論」という考え方は欠かせないものとなります。
休んでまでも叶えたい目的をその子は持っています。
けれども、その子には未来を変える力はしっかりと備わっており、決して弱い子ではありません。
「学校を休んでまで、その子が叶えたい目的は何なのだろう?」
不登校を正しく理解し、その子をしっかりと支えるために「目的論」という考え方、
ぜひ参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。