「リソース探し」を大切に~原因探しよりも優先したい~

「不登校の原因はなんだろう?」と考えていませんか?

お子さんが学校を休み始めたとき、私たちはどんなことを考えるでしょうか?

カウンセリングでもよく「不登校の原因を知りたい」というお話をお聴きします。

それはもちろん、お子さんが学校に行けるようにするために原因を解決しなくてはならないという思いからだと考えています。

しかし、その原因探しのアプローチは効果的ではないことは、過去のブログ「学校に行けない理由を聞き出さなくても大丈夫?」でもお伝えしました。

「では、何をしたらいいの?」

そうした疑問も自然に思い浮かぶかもしれません。

今回のブログでは、カウンセリングの際に実際に行っているアプローチについて、ご紹介していこうと思います。

原因探しよりも大切なリソース探し

「リソース探し」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?

「リソース」という言葉をネットで検索すると「資源」という意味が出てきますが、ほぼ同じ意味となります。

そして、カウンセリングにおいては、不登校の原因を探すよりも、リソースを探すことに意識を向けてかかわっていきます。

その理由は明確で、リソース探しの方がお子さんが意欲を持つことをサポートしやすいからなんですね。

たとえば、学校が嫌な理由(原因)として、「宿題が終わっていない」、「授業で先生に当てられたくない」ということが話題に出たとします。

その理由を解決するために、「宿題は今はやらなくてもいいよ」、「授業中は当てないことを約束するよ」と伝えても、その子自身に登校する意欲がなければ、動き出すことはないでしょう。

もしかしたら違う嫌な理由が出てくるかもしれません。

もちろん悩みが解消されることは大切ですが、悩みが解消されたとしても取り組む意欲がなければ、動くことがないことは私たちにとっても同じでしょう。

それではその意欲を引き出すためのリソース探しとはどのようなものなのでしょう。

リソース探しとは?

リソース探しとは、ブリーフセラピー(短期集中療法)という心理療法の中で用いられるアプローチの一つです。

ブリーフセラピーというのは、心理療法の中では現在、そして未来に重点を置き、これからどうしていくかということを共に考えるアプローチとなります。

ですので、過去の原因をあまり考えません。あくまで「これからどうするか」、そのゴールをイメージしながら前向きに取り組んでいくアプローチとなります。

そして、ブリーフセラピーの中で用いられるアプローチの一つがリソース探しとなります。

リソース探しをすることで、自分のリソースを再確認することができ、自分の力を再確認することができます。

そしてそれは、未来に向かってチャレンジしてみようという意欲につながっていきます。

では、リソースはどのように見つけていけばいいのでしょうか?

どんなものがリソースに?

それではリソース探しの方法を一緒に理解していきましょう。

先ほどリソースの意味は資源とお伝えしましたが、ブリーフセラピーで扱うリソースの意味もほぼ同じとなります。

「目標を達成するために、役立つあらゆるもの」

このように、リソースはとても広い概念となります。

だからこそ、その人の状況によって、様々なものがリソースとなりますが、例えばでいうと次のようなものがリソースとなります。

こんなものがリソースに

自分のことを理解してくれたり、勇気づけてくれる家族、友達、先生など

長所、得意なこと、今夢中になっていること、好きなこと、リラックスできることなど

過去の成功体験、実績、続けてきていること、褒められた経験など

人であったり、得意なことであったり、経験であったりと、本当に様々なものがその子のリソースとなっていきます。

お子さんのリソースはなんだろう?

リソース探しについて、ともに理解を深めたところで、改めてお子さんのリソースは何かを考えてみましょう。

理解してくれる味方のような人は家族、友達、先生等、周りにいるでしょうか。

今夢中になっていることや、得意なことはあるでしょうか。

また過去の成功体験などの経験はどのようなものがあるでしょうか。

例えば、今夢中になっていることには、ゲームや絵を描いたり、本を読むことが入ってくるかもしれません。

そして、それをさらに細かく理解していくと、そのゲームでは戦略的な思考を発揮していたり、その絵にはその子の個性が表現されていたり、本を読むことは豊かな感受性が生かされているのかもしれません。

「自分にはこんな力があるんだ!」

自分の力を自覚することは、何かに挑戦したときに結果を前向きにイメージする力となり、立ち向かうときの勇気となっていくでしょう。

リソースの実感は一歩踏み出す勇気に

今回はリソース探しというブリーフセラピーの技法をご紹介していきました。

私もカウンセリングの中で、このアプローチはとても大切にしています。

というのも、学校に行っている子が悩みを持っておらず、休んでいる子が悩みを持っているということではなく、生きていれば悩みは抱えるものです。

だからこそ、悩みをゼロにすることがゴールではなく、悩みと上手に付き合っていく力が大切だと考えています。

そうしたときに、「自分には頼れる味方がいる!」、「自分にはこんな力があるんだ!」、「自分はこんなことを成し遂げてきたんだ!」というリソースの実感は、自分自身を力強く支えてくれるでしょう。

ぜひ、お子さん、ご家族のリソースについて振り返ってみてくださいね。

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