「こどものことをたくさんほめましょう」
不登校の悩みに限らず、子育てというテーマでも「ほめる」というかかわりは大切にされています。
しかしながら、ご家族からお話をお聴きしていると、
「ほめているのに、全然嬉しそうじゃなくて。うまくほめられていないのかも。」
お子さんの反応から、お子さんに言葉が届いていないように感じている方もいらっしゃいます。
または
「ほめた方がいいのはわかっているんだけど、ほめるときが中々なくて。」
お子さんの様子などから、ほめることがそもそも難しい状況の方もいらっしゃいます。
ほめることが大切なことは理解しつつも、思ったように伝えられない難しさがほめるというかかわりにはあります。
そこで今回は、お子さんの勇気を支えるためにはどのようなほめ方が大切なのかについて、お話していきますね。
ほめるというかかわりを考えたときには皆さんどんなイメージが浮かぶでしょうか。
「偉い!」、「よくできた!」、「がんばった!」というような言葉がけもあるでしょう。
「頭をなでる」、「拍手する」、「ハイタッチ」をするなどのスキンシップやジェスチャーで示すものもあるでしょう。
どれもほめるというワードから連想できるかかわりかもしれませんが、それぞれ相手に伝える意味が微妙に異なるように感じないでしょうか?
たとえば、「偉い!」や「頭をなでる」は、立場が上の人から下の人に行うようなニュアンスがあるでしょう。
「がんばった!」、「ハイタッチ」などは、立場の上下よりも、対等な関係の人、仲間同士でするニュアンスが強いでしょう。
このように、ほめるというかかわりを考えても、いろいろなかかわり方があり、相手に伝わる意味も変わってきます。
ここまでお話してきましたように、ほめるというかかわりには様々な種類がありますが、その種類の中に、結果評価とプロセス評価というほめ方があります。
どこをほめるのかということの違いにはなりますが、文字通り、結果評価は結果をほめる、プロセス評価はプロセスをほめる、というかかわりになります。
結果をほめるよりも、プロセスをほめた方がいいというのは、多くの記事でも紹介されていますので、ご存知の方も多いでしょう。
しかし、初めて知る方も当然いると思いますので、その違いをここでもお伝えできたらと思います。
結果評価とプロセス評価は、どこをほめるのかの違いということをお伝えしました。
まず結果をほめる結果評価についてですが、例えばテストで90点を取った子がいたとします。
結果をほめることになるので、声掛けとしては「90点、すごいじゃない!」という感じになるでしょう。
実際、ほめられて嬉しい気持ちが湧くことも想像できそうですよね。
しかし、結果をほめるというコミュニケーションを通して、相手に伝わる価値観というのは、「90点という結果を出すことは良いこと」であるというものです。
結果を出すことは良いことであることは理解しつつも、お子さんによっては、反対に結果が出ないことはダメなことというメッセージも受け取るかもしれません。
ましてや、90点という結果が、本人も自分の実力以上のことと感じていたりすると、次回のテストにはプレッシャーがかかるかもしれません。
とくに、次回のテストでは良い点が期待できないと本人が感じているときは、なおさらそのテストを受ける動機は低くなるでしょう。
また結果を出すことに価値を置きすぎてしまうと、結果を出せるチャレンジしかやろうとせずに、結果が出せなさそうなものはそもそもチャレンジをしないという決断に、引っ張られてしまうこともあるでしょう。
このように、結果評価は本人の自己評価と離れていったときに、期待やプレッシャーとなり、子どもに負荷をかけてしまう可能性もあります。
一方、プロセス評価はどのようなものでしょうか。
こちらも文字通り、ほめる対象はプロセス、つまり結果までの頑張りや努力の部分となります。
先ほどのテストの例でいえば、「毎日こつこつとテスト勉強頑張っていたね」という努力であったり、テストの時間を振り返る中で「最後まであきらめずに色々公式を試していたんだね」という諦めない姿勢をほめることができるかもしれません。
実際に、プロセスをほめることのポジティブな点としては、結果に至るまでのプロセスをほめることを通して、取り組んだ努力や姿勢に価値があることを伝えられる点があります。
テストの結果など、試験に合格や不合格があるように、結果というのは自分だけではコントロールできません。
チャレンジする目標の高さであったり、競争相手のレベルにも影響されるでしょう。
しかし、目標に対して、どのように取り組むかというプロセスは自分次第で変えられるものとなります。
結果は自分の希望通りにならないこともありますが、どう取り組むかというプロセスは自分次第です。
そのプロセスに価値を感じている人にとっては、努力することが価値あることであり、努力しなくてもできる目標よりも、より努力ができる目標に魅力を感じるでしょう。
それはすなわち、やりがいのあること、困難に立ち向かう勇気へとつながっていきます。
そして、もう一点プロセス評価を行う時に大切にしている視点があります。
それは目に見えないプロセスにも目を向けることです。
テストの例でいえば、日々の勉強であったり、テスト終了の時間まで手を動かしていた姿は目に見える努力です。
しかし、場合によってはなかなか勉強に取り掛かることも難しかったり、テストを受けるかどうかも迷うお子さんもいるでしょう。
そうしたときには、まだ明らかな行動には表れていない心の動きにもプロセスを見出そうと私もしています。
「やろうとは思ったんだけどやる気が出なくて」と子どもが話せば、「やろうとは思ったんだね。でも取り掛かるまでのやる気は出なかったんだ」と応えてみたり。
「教科書だけは開いてみた。開いただけだけど。」と子どもが話せば、「教科書用意したのね。開いてみてどうだった?」と聞き返してみたり。
見る人によっては、おそらく「何もやっていない」、「できていない」という評価となることもあるでしょう。
しかしながら、心の悩みというのは、解決策がわかっていてもできないというつらさを抱えています。
ですので、子どももやった方がいいことはわかっていることがほとんどです。
それでもできないというつらさに、どのようにかかわるかというのが大切です。
ですので、行動に移したかどうかという目に見えることへの評価だけではなく、子どもの内面の努力にも評価の視点を向けることを大切にしています。
ここまでお読みいただいてお疲れさまでした。
ほめるというかかわりは、簡単にイメージはできますが、適切にほめることは簡単ではありません。
ほめることがお子さんの勇気づけとなるように、目に見えること、目に見えないことにも思いを巡らせながら、プロセスをほめていくことを大切にしていきましょう。
ただし、こう言ったアプローチというのは言うことは簡単ですが、完璧にやるのは簡単ではありません。
できる範囲で、できるときにやってみようという、そんな意識も大切にしていただけたらと思います。