子どもが学校を休む日が続いたとき、
「なんで学校に行けないのだろう?」
この疑問を持つ親御さんは多いでしょう。
「不登校」という言葉も無く、あるいはまだ馴染みがない学生時代を過ごした方からすれば、
病気でもないのに学校を休むという選択自体が理解しにくいかもしれません。
そうなれば自然と、お子さんに学校を休む理由を尋ねることになるでしょう。
しかし、理由を尋ねても返事がない、だんだんと話をしなくなってきたなど、
学校についての悩みだけでなく、親子の会話についても難しさを感じるようになるケースも少なくありません。
そこで、今回は親子の会話の中で、特に質問するときに注意するポイントを取り上げていこうと思います。
カウンセリングの際に意識していることも踏まえて、お伝えしていきますね。
カウンセリングやコーチングでは、「質問」も一つの技法として扱います。
そして、質問の種類も様々です。
聞いたこともあるかもしれませんが、
「AとBではどちらが好きですか?」のようにイエスかノーで答えられるクローズドクエスチョンや、
「〇〇についてどのように思いますか?」のように自由に答えられるオープンクエスチョンというものもあります。
また、過去を振り返り内省することを促す質問や、未来に意識を向けて想像してもらう質問などもあるでしょう。
相手に気づきを促したり、相手の意欲を支えるために質問という技法を使ったりします。
けれども、普段の生活では、そうした目的で質問をする機会はあまり多くないでしょう。
それよりも私たちは、自分が知りたいことを確かめるためや不安な気持ちを解消するために使うことが多いかもしれません。
- 「学校の何が嫌なの?」
- 「友達と何かトラブルがあったの?」
- 「どこか具合が悪いの?」
など、もちろん子どものことを心配してのことだと思いますが、同時に自分自身もそのことについて知りたいと思う気持ちもあるかもしれません。
そして、子どもから
- 「宿題が多くてついていけない」
- 「友達ができない」
- 「教室に入るとお腹が痛くなる」
こんな答えが返ってくると、もっと質問したくなったり、時には励ましたくなることもあるでしょう。
しかし、ここで意識をしておきたい大切なことが一つあります。
それは、子どもはその質問に対する答えを話したいわけではなかったかもしれないということ。
先ほど、質問は自分が知りたいことを確かめるためや不安な気持ちを解消するために使うことがあるとお伝えしました。
ということは質問はあくまで質問する側のタイミングでされるため、答える側にとっては突然のことになります。
そして、質問に答えたにも関わらず、子どもからするとあまり望まない方向に会話が進むのは気分が良いものではないでしょう。
例えば「学校の何が嫌なの?」と聞かれ、「宿題が多いからついていけない」と答えた子に、「じゃあどうやったら終わらせられるかな?」と言っても良い反応は得られないでしょう。
なぜなら、学校の嫌なことに宿題が多くてついていけないことを話したとしても、子どもはそれを「何とかしなくてはならない」と思っていないかもしれません。
もしかしたら、その瞬間は何とかしなくてはならないと数か月自分なりに努力したけれど、「もう無理だ」と疲れ切った状況かもしれません。
そうしたときに「どうやったら終わらせられるかな?」と言われても、前向きには受け止められないでしょう。
むしろ、質問に答えたことを後悔することもあるかもしれません。
質問に答えても、その子にとって望まない方向に会話が進むのであれば、次第に質問に答えることも減っていくでしょう。
質問をしたときは、「答えてよかった」とその子が感じられるように、質問した側はまずはその答えをしっかりと受け止めることが大切です。
質問をされたとき、その質問に対して「答えづらいな」、「答えたくないな」と感じた経験は私たちもありますよね。
それでも、その場の状況によっては、答えざるを得ないこともあるでしょう。
しかし、そうしたときにも周りが温かく受け止めてくれたら、自分の気持ちもホッとしますよね。
子どもも同じです。
私たちが質問したことは、子どもにとっては答えたくない、答えづらい話かもしれません。
それでも勇気をもって答えてくれた時は、それを大切にまずは受け止めましょう。
「話してくれてありがとね。」、「そんな出来事があったのね」、「毎日体調悪かったのね」など、受け止め方は様々です。
アドバイスはときに専門の知識がないとできないこともありますが、受け止めるのであれば知識はなくともできそうですよね。
「相手に話してよかった」と思えた経験は、その子に安心感を与え、一人で抱えこまずに誰かを頼る力を引き出してくれます。
お子さんとの会話の中で参考にしていただけるところがありましたら、ぜひ取り入れてみてくださいね。