通信制高校ってどんなところか詳しく知っていますか?
毎日登校し、時間割に沿って授業を受ける全日制とは違い、通信制高校の仕組みを知る機会はあまりないかもしれません。
今回は、不登校の悩みを抱える子どもたち、その家族と一緒に、通信制高校の入学、転学を進めてきた経験も踏まえ、通信制高校の仕組みについて、ご紹介していきます。
高校には、通信制のほかに、全日制、定時制という仕組みがあります。
いずれも3年以上在籍し、74単位以上の授業を習得していることが卒業の条件となります。
そして、その単位を修得するための方法がそれぞれの学校によって異なるのですね。
全日制は毎日通い、朝から夕方まで、大体5~8時間程度(進学校では10時間目なるものもあるようです)、時間割が組まれています。
定時制は時間割は組まれているのですが、時間帯が夜間であったり、午前だったりと全日制よりも時間割は少なくなります。ただし、学校によっては、夜間部、午前部の授業に加え、午後の特別授業を受講することで、全日制と同じ時間割を組むこともできます。
全日制と定時制は、授業への出席、提出物、テストの評価で一定の基準を超えることで単位習得が認定されます。
一方、通信制は授業への出席というのは毎日あるわけではなく、レポート、スクーリング、テストの評価で一定の基準を超えることで単位習得が認定されます。
レポートは、学校によっても内容は多少異なりますが、多くの場合、知識の理解を確認する穴埋めプリントが主となります。
実際に見せてもらったこともありますが、教科書と連動している内容も多く、たとえ習っていない範囲でも教科書を調べながら進めていくことができる内容となっています。
ただし、このレポートについては、子ども自身が自分で進める必要があります。
難易度としては、教科書を見ながら進めていけるものであるため、意欲のある子にとってはどんどん進めていくことができ、1年分のレポートを1ヵ月もかからず終わらせる子もいました。
一方で、自分で取り掛かるのが苦手な子にとっては、なかなか進めることができず、提出期限が迫っている中、まだ多くのレポートが残っているというケースもありました。
通信制高校の転入学にあたり、本人の意志が大切になる理由の一つとなります。
次にスクーリングは、学校に登校して授業を受ける時間となります。
全日制ほどの頻度ではありませんが、提出したレポートの添削であったり、分からない内容の解消などのサポートを受ける時間となります。
1単位修得に必要なスクーリングの回数は、レポート3枚に対してスクーリング1時間など、科目によって決められています。
そして、このスクーリングのタイプや頻度は学校によっても異なります。
通信制高校は、通信教育が基本となりますが、まるで全日制高校のように週5日通うコースもあります(週1~5日で選択できる)。
また、通学タイプではなく、数日間、朝から夕方まで授業を受け、集中的に実施するスクーリングもありますし、合宿をしてスクーリングを実施するタイプもあります。
実際に、不登校の経験があるお子さん、そのご家族からのご相談では、集団で活動をするスクーリングにストレスを感じているケースも多くありますので、どのようなタイプが合っているのか、お子さんとも相談していくことが大切になります。
学校によっては、そうした集団が苦手なお子さんに配慮するため、多様なスクーリングの形を用意されているところもあります。学校を検討する際にそうした事情をご相談して、どのようなサポートがあるのかを知ることも大切です。
最後にテストは、基本的にレポートの内容から出題されることが多いようです。
そのため、レポートの内容をテスト前に復習することで合格点を取ることは十分可能です。
「やってみたら何とかなった」という振り返りが多く起こるのがテストになりますが、
自信がなかなか持てない状況の子の場合は、不安も大きく感じる点となります。
このように、レポート、スクーリング、テストの3つをクリアすることで、単位修得が認められ、3年以上在籍し、合計で74単位以上取得できれば、高校卒業となります。
そして、この高校卒業資格は、全日制、定時制、通信制、どの学校を卒業しても同じ資格となります。
あまり馴染みのない通信制高校を卒業したからといって、それが今後不利に働くということはありません。
以前は、不登校の経験があり、全日制に行けない子が行くところなど、全日制に準じる位置づけ、イメージがありました。
しかし、現在では時間を効率よく使い、学習を進めることができる通信制の利点もあり、スポーツ選手や芸能人の方々も利用しています。また、プログラミング学習や起業体験など、子どもたちが社会に出たときに活躍できるような五教科にとらわれない学習の機会を設けている通信制高校もあります。
通信制高校は、全日制高校に行けない子のための選択肢ではなく、多様な経験ができる可能性を持った立派な選択肢です。
「この道が自分の進む道なんだ」と自信を持って歩んでいけるよう、通信制高校の仕組みについて今回ご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。