今、お子さんが夢中になっているものはありますか?
それはゲームだったり、マンガだったり、youtubeなどの動画だったり、SNSだったり。
ご家族とお話をしていても、子どもたちが夢中になっているものは毎年変わってきていることを実感しています。
しかし、子どもたちが夢中になるものは変わっていますが、ご家族が抱くお悩みは共通してように思っています。
それは「夢中になりすぎてやりすぎてしまっていること」です。
好きなこと、夢中になれることがある良さは理解している親御さんも多くいらっしゃいます。
しかし、やりすぎることで昼夜逆転気味になったり、ごはんのときも辞められなかったり、言葉遣いも荒くなったりする姿を見ると、心配な気持ちを抱える親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで、本日はお子さんが夢中になっているモノとのかかわり方についてお話していきたいと思います。
たとえばゲームに夢中になっていて、寝る時間が遅くなったり、やるべきことが出来なかったり、乱暴な言葉を言っていたりすると、「どうやってゲームを辞めさせたらいいのだろう」と自然に考えることでしょう。
親御さんとしても、お子さんの以前の姿を知っているからこそ、「ゲームのせいで」とゲームが問題の原因になっているように感じるかもしれません。
そうすると、ゲームができる時間を決めたり、あるいは預かったりと、お子さんがゲームから離れる時間を何とか作ろうとするでしょう。
しかし、夢中になっているものであればあるほど、そうした約束に対してはお子さんも反発してくることも多いでしょう。また学年が上がれば上がるほど、その約束を守ってもらうことは現実的には難しい場面も多いと思います。
「ゲームの制限はしているけども、親と子の関係は前よりも悪くなっている」
そんなお話をお聴きすることもたびたびあります。
ゲームのやりすぎは改善できたものの、一方で親子関係はぎくしゃくしてしまい、会話の機会が減ってしまうことはまた違う悩みごとを作るかもしれません。
それは親子でこれからのことを話し合うことなどが難しい状況にも繋がり、結局ゲームの制限を緩めるしかなくなる、というケースも起こったりします。
このように、ゲームなどのやりすぎについての対応はなかなかスムーズにいかないことも多く感じています。
ですので、お子さんがゲームなどをやりすぎて心配なときは、どうやってそれを制限するかと考える前に、なぜゲームに夢中になっているのだろう?ということも私もご家族と一緒に考えるようにしています。
お子さんがそのゲームに夢中になっているのはなぜなんでしょうか?
「面白いから」、「楽しいから」という理由はパッと思いつくかと思います。
ですので次は、そこからもう一段掘り下げてみて「何を面白いと感じているのだろう?」、「何を楽しいと感じているのだろう?」ということも考えてみましょう。
・他のプレイヤーと協力することが楽しい
・相手に勝つことが楽しい
・自分のキャラクターを育てたり、オリジナルな世界を作ることが楽しい
・ゲーム内のアイテムなどを全部コレクションしたい
・難しいミッションを達成して称号を手に入れたい
いかがでしょうか。
ゲーム内でチームプレイが楽しい子は、人と協力することに魅力を感じているのかもしれません(本来は人と関わることが好きなことが分かるエピソードにも)。
相手との勝負に勝つことが楽しい子は、色んな状況判断をしなければならない難しさに魅力を感じていたり、相手より優位な立場にいることを求めているのかもしれません(その背景には学校生活で自信を失ってしまっている場合もあったり)。
ゲームと一言で言っても、様々なジャンルがありますし、一つのゲームでもその楽しみ方は一つではありません。
またマンガや動画、SNSについてもその内容によって、夢中になっている理由は一人一人異なるでしょう。
こうしたことからも、人と一緒に協力することや、勝負に勝って自分を強くすることなど、自分の満たしたい思いを叶えるために、その手段としてゲームを一生懸命しているという見方もできるでしょう。
とはいえ、夢中になる理由には理解ができても、やりすぎを心配する気持ちが消えることはなかなかないですよね。
ですので次は、やりすぎてしまう背景についても考えていきましょう。
子どもたちがあるものに夢中になっている背景を考えると、子どもには今満たしたい気持ちがあって、それを満たす手段として、ゲームだったり、SNSだったりに夢中になっていることをお話してきました。
何か満たしたい気持ちがあり、それを満たすための手段を選ぶことは特別珍しいことではなく、自然な反応だとも言えるでしょう。
しかしながら、その満たしたい気持ちを満たすための手段が少なくなったとき、ただ一つだけになってしまったときに、その手段に執着してしまい、なかなかやめられない状況というのも起こってしまいます。
そのように捉えると、問題なのはゲームではなく、気持ちを満たす手段が限られていることにあるのかもしれません。
気持ちを満たす手段が限られているときに、その手段にも制限を加えようとすると、子どもにとってはどのような状況になるでしょうか。
例えば、自信を保つ手段がゲームをやることのみになっている状況で、ゲームを預かることになった場合。
きっとあまり良いイメージが浮かばない方も多いでしょう。
実際、自分の気持ちを満たす手段が無くなってしまう不安から、必死に抵抗をするかもしれません。
あるいは制限された反発として、ご家族に対する態度も硬くなるかもしれません。
または気持ちが満たせなくなることで、無気力のようになってしまうこともあるでしょう。
夢中になっているものを制限すれば、本来向き合うべきものに向き合うようになるだろうという狙いは、なかなか思うようにいきません。
むしろ、先ほどお伝えしたように、親子関係に歪みが生じてしまうので信頼関係を損なってしまう危険も生まれます。
ですので夢中になってやりすぎてしまう状況について考える時は、どのように制限したらよいだろう?と考えるよりも、お子さんは「今どんな気持ちを満たしたいと思っているのだろう?」、「その気持ちを満たす時間を他の方法でも増やすにはどうしたらいいだろう?」と考える視点も大切になってきます。
そして気持ちを満たせる手段が増えることで、一つのことに対する執着は和らいでいくでしょう。そうすると結果的に夢中になっているものとも上手に付き合うことができるようになっていくでしょう。
やりすぎて心配なことがあるときは、それに夢中になっている理由にも目を向けてみましょう。