カウンセラーが解説「通信制高校選びで注意すること」

高校に入学する時、在籍している高校から転入する時など、通信制高校の転入学を検討する時には、
どんなことに注意して選んだらよいのでしょうか?

通信制という仕組みは共通ですが、それぞれの特色が各通信制高校にもありますので、
子どもだけでなく、親にとっても迷う場面も多いかもしれません。

通信制の仕組みは別の記事「カウンセラーが解説『通信制高校の仕組み』」でご紹介しましたので、
今回は通信制高校を実際に決める際に、どのようなポイントに注意していけばいいのかをご紹介していきますね。

通信制高校を選ぶ際に注意したいこと

カウンセリングをしている中で、お子さん、そのご家族と通信制高校への転入学について話し合うケースも多くあります。
通信制高校への転入学へのサポートをする中で実際に注意しているポイントを次のように4点まとめてみました。

・ネットから通信制高校の情報を集め、資料を取り寄せること
・届いた資料を比較し、3つ程度に絞ること
・学校へ見学に行き、雰囲気を体感すること

・行きたい通信制高校を自分で決めること

こちらのポイントについては、特別新しいものはないかと思いますが、注意すべき点は存在します。
それぞれのポイントについて細かく解説していきますね。

ネットから通信制高校の情報を集め、資料を取り寄せること

どんな通信制高校があるのかをまずは知らなくては選ぶことができません。
そのため、まずはインターネットで「通信制高校 お住まいの地域名等」などと検索し、まずは情報を集めるところから始めてみましょう。
検索すれば、きっと多くの通信制高校のHPや比較サイトの情報が表示されるため、何から見たらよいか迷うかもしれません。
また、通信制高校のHPを見ても、HPに掲載されている情報も多く、初めて見る人にとっては少し気力、体力がいるかもしれません。

いざ、通信制高校の情報を調べてみても、このように大量の情報が一気に表示されるため、そこを整理していくのも一苦労です。

ですので、通信制高校を決める際にとても大切なことは、子ども自身が通信制高校に転入学するという意志を持つことになります。

通信制高校の仕組みについて、ご紹介したときにも触れましたが、通信制高校はレポートの提出が単位習得の条件の一つとなっており、これは生徒自身が自分で進めていくものになります。
そのため、1枚1枚終わらせていけばレポート提出は完了しますし、逆に自分が取り掛からなければ終わることはありません。

通信制高校は、生徒の学力の程度に応じて幅広く対応できるため、たしかに卒業するために必要な学習の難易度は難しいものではありません。
しかし、自分でやらなければ終わることはない仕組みでもありますので、本人の意志がとても大切になります。

こうしたレポートの事情もあり、もしお子さんが通信制高校について調べる意欲がない状態で、周りのご家族が情報を集め、手続きを進めていっても、子ども自身の意欲が湧かないままであれば、なかなか単位習得をスムーズに進めることは難しいでしょう。
時間が十分に無いということも検討のタイミングによってはあり、親御さんとしても判断が難しいときもあると思いますが、できる限り本人の意志というのは大切にしたい点となります。
そして、通信制高校を選ぶプロセスの中でも、「自分でこの学校に決めた」という実感を持つことも大切な入学前の準備となります。

そして、この段階では、詳細に各HPを見比べるというよりも、「通うときに近いから」、「通うペースが合っているから」など、ざっくりとした分け方でも構いませんので、まずは興味がある通信制高校の資料を取り寄せてみましょう。

通信制高校から届いた資料(パンフレット等)を3つ程度に絞ること

次は届いた資料を比較検討し、3つ程度の候補に絞りましょう。
候補をどれにするか、ご家族としてのご希望もあると思いますが、子ども自身も自分の考えをまとめていくことも大切です。

  • 通いやすさ
  • スクーリングのタイプ(通学?、まとめて実施?、合宿?)
  • 通学ペース(どんな選択肢があるのかどうか)
  • 卒業後の進路に希望がある場合は、卒業後の進路
  • 学習面でのサポート
  • 心理面でのサポート
  • 学校行事

子どもが希望する条件によって変わりますが、子どもとの面談の場面では、上記のようなポイントを参考にしながら各学校の良いところ、心配なところを整理していきます。
そして、心配なところは対策を練ることで解消できるかどうか、ということも一緒に考えていきます。

例えば、
「行けるかどうか心配だけど、通学ペースは選べるから、まずは週1ペースで始めてみて、慣れたら週2とかにペースを上げてみる」
など。

この段階で3つ程度に絞り込むことができるといいでしょう。
もちろん3つでなくとも構いませんが、実際に学校見学に行くスケジュール調整を考えると、3つ程度が親御さんの予定も調整しやすいかもしれません。

また、資料請求したタイミングでは、各通信制高校の担当者の方から電話等でご連絡があるかもしれません。
ご不明な点の解消であったり、早期に転入学を決めることで得られるメリットのご紹介などのお話があるかと思いますが、子ども自身が自分で決断することを優先しましょう。
繰り返しになりますが、本人の意志が伴わない状況では、転入学後に躓く可能性が高くなります。

候補の通信制高校に見学に行き、学校の雰囲気を体感すること

通信制高校を選ぶ、最後のステップとして学校見学があります。
現在は、コロナの影響もあり、Web面談で学校説明をされるところもありますが、もし状況が許すようであれば、実際にキャンパスに行くことをオススメしています。
そして、その学校見学のタイミングは、通常授業があり他の生徒がいる日だと、より自分が通ったときのイメージがしやすいでしょう。

そして、実際にキャンパスに行くことで体感できるものが多くあるでしょう。
通信制高校によっては、校舎を持つところもあれば、学習塾のようにビルのワンフロアがキャンパスになっているところもあります。「学校らしい方がいいのか」、「学校らしくない方がいいのか」、どちらがいいかはお子さんの希望次第であり、それぞれにメリットがありますので優劣はありません。

また、生徒の雰囲気もみんなでワイワイしているアットホームな雰囲気であったり、ひとりひとりが自分のペースで過ごしている落ち着いた雰囲気であったり、様々でしょう。
こちらもお子さんによって、どんな雰囲気がいいかは違いますので、実際に体感してみるのが選びやすいかもしれません。

そして、学校の先生との面談では、パンフレットではわからなかった質問などをしてみて、疑問を解消する時間も取りましょう。

  • 「勉強についていけるか心配だけど大丈夫だろうか」
  • 「スクーリングの日にもし行けなかったらどうなるのか」
  • 「(転入の場合)卒業の時期はいつになるのだろうか」

子ども自身が通うことを考えているからこそ、こうした疑問が出てくるかもしれません。
パンフレットではなかなか分からない点でもありますので、学校見学で先生とお話する機会を活かしていきましょう。

自分が行きたい通信制高校を決めること

ここまで来ると、お子さんの中でも行きたい高校は明確になっているかと思います。
子ども自身が自分の希望が決まった後は、ご家族にもその考えを改めて伝え、ご家族としても伝えたいことがあれば話し合いをして、結論を出していきましょう。

これまで多くのお子さんの通信制高校への転入学に関わってきましたが、それぞれに学校の特色があり、次の進路にもしっかりと進むことができる、立派な選択肢ばかりだと感じています。

ですので、どの学校がいい、という優劣ということではなく、どの学校も道はしっかりとつながっているので、どの道で進むのかを自分で決めることが大切です。
そして、自分で決めたという実感が、踏み出す一歩の心強い支えとなっていきます。

通信制高校という親御さんにとっても、馴染みのない選択肢かもしれませんので、少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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